またの冬が始まるよ


“誤解の正しい解き方は?”




     幕間


深色の部分が大きいせいか、
愁いをおびて俯くと、潤みをおびて見える瑠璃色の双眸に、
長い睫毛の陰が落ちていて。
ますますのこと不安げな哀切の気配が滲んで見える。
不安を留め置けなくてだろう、
ついついつく吐息をふうと吹き出すことで薄く開いた口許は、
緋の色が幾らか濃くなっており。
それを隠したいのか、それともどこかへ触れることで不安を宥めたいものか、
白い指先を柔く折り曲げ、節のところを唇に軽く押しあてる様がまた、
何というのか、やや痛々しいほど心細げで。
こんな時に不謹慎な言いようかもしれないが、
その不安定な落ち着きのなさが
そのまま どこか悩ましげな蠱惑ともとれそうな
一種の危うさになっており。

「…何ですよ。スマホなんて取り出して。」
「いえね。帝釈天も別の作家の方のところへ
 原稿を受け取りにと降りてきているものですから。」

メールでも届いてはいないかなと、と、
それらしい言いようで誤魔化して。
剣を余裕でぶん回しもする、かっちりとしたその手には
ずんとコンパクトに小さく見えるツールを、
うんうんと頷いて確認中の梵天だったが、
メールのアイコンをタップする直前に
実は別の操作もしておいで。

 “あとでイエス様に転送して差し上げよう♪”

困ったなぁとやや焦燥しているシッダールタの、
なまめかしき煩悶中のお顔の写真。
自分には見飽きるほど見慣れたそれなれど、
あの純朴な神の子様には、
ドキドキとときめくだろう魅惑のご尊顔に違いないと思ったからで。

 “今だとますます何かしらへの誤解を深めそうなので。”

そうですね、このドタバタへの鳬がついた後に、なんて。
この段階では、まだまだ余裕のある思惑を巡らせていられた天部様でしたが…。






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 *何のこっちゃな短さですいません。
  あああ、続きが書きたいよう。(ううう)


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